このコトバの一群に遭遇したのは、30年ほど前のこと。それは、一冊の本の中にあった。そのコトバらを声に出して読んだ時、言い得も知れぬ震えを感じた。そしていつの日かこのコトバの一群が、舞台にのれるような芝居を思いつきたいものだと不謹慎にも思った。隣で、悪魔から「人間には、やっていい事とやっちゃあいけない事があると思うけどなあ…」とアドバイスされた。それからというもの思い出し笑いをするように、そのコトバらを時に読み返しては、思い出し生きるをしていた。この芝居『フェイクスピア』の最後は、そのコトバの一群の引用で終わる。私ごときに創り変えられてはならない強いコトバだからである。それらは突如生まれたコトバの一群である。フェイクではない。ただし、そのコトバの一群は、『フェイクスピア』という題目でありながら、シェイクスピアのコトバではない。ゴメンね!シェイクスピア 野田秀樹