2012年秋、この“エッグ”が上演された時、パリのシャイヨー国立劇場が、大層気に入ってくれた。とにかく、パリにエッグを持って来い、という話になった。何を、そんなに気に入ったのか?と問えば、この芝居には、ワレワレ(パリの人々、あるいは欧米人)の知っている日本としらない日本と知りたい日本とが、混在しているからだという。
うん、だったらもう一度再演し、日本も巡り、パリにも行こうと、役者、キャストの内で楽屋で盛り上がった。ふつう、こういうのは盛り上がりだけで、しぼむことが多い。だがこうして、オリジナルのキャストで再演できることになった。今の日本の演劇事情を思うと奇跡的である。その奇跡を見届けて欲しい。「また」にせよ「はじめて」にせよ。
野田秀樹
意味深な質感に、断定的な量感、そして婀娜っぽくうつろう色合い。唯一無二と書いてトクベツと読むこの声に、似合わない調べはありません。すてきな機会に感謝!
椎名林檎
(2012年 記者会見に寄せられたコメント『エッグの楽曲制作にあたって』より)
- 東北の田舎から上京してきた、自由奔放な新人アスリート・阿倍比羅夫に、妻夫木聡。
- 本作のヒロインとして歌い踊る、人気シンガーソングライター・苺イチエ に、深津絵里。
- “エッグ”日本代表の精神的支柱であるストイックなベテランアスリート・粒来幸吉に、仲村トオル。
- 「世界の9割くらいのもの」を束ねる者の娘として“エッグ”を司るオーナーに、秋山菜津子。
- エキセントリックな存在感で粒来を慕う、日本代表のアスリート・平川に、大倉孝二。
- コミカルとシリアスの絶妙なスイッチングが冴える、苺イチエの振付師・お床山に、藤井隆。
- 狂言回しとして物語を怒濤の展開へと誘う、劇場案内係/芸術監督に、野田秀樹。
- 軽妙かつ重厚な存在感で、選手団を指揮する消田監督に、橋爪功。
野田秀樹
(2012年 公演発表時のコメントより)